HOME > PC > SSD vs. HDD > Gavotte Ramdisk > ANS-9010


ANS-9010の基礎的実験結果 


ACARD製の「ANS-9010」は、内部で2組の DDR2 SDRAM が利用可能で1台で2ポートを用いてRAID 0環境で使用することができ、3GbpsのSATAUの接続インターフェイスを持ち、店頭公表されたスペックは読出338MB/s・書込280MB/s とすばらしい性能で、公表後もなかなか発売にならず、2008年9月か10月にANS-9010を台湾のACARD本社に購入予約していた人たちも、予約通りに生産できないとのことで、下位機種のANS-9010Bに注文を変更するかキャンセルをするかをメールで聞かれたりして本格的発売が危ぶまれていた。ところが、2008年10月31日午前11時に突然最初の5台が秋葉原のドスパラ本店で発売になったが1時間半で売り切れてしまい、その後もなかなか入手困難で価格も49,800円と高かった。2008年12月上旬にはT-ZONEで約8,000円ほど値下げしてくれて(T-ZONEのみ!)入手できないと思っていた私は代わりに無料の Gavotte RamDisk で遊んでいたが、入手できると思うとだんだんとやっぱりANS-9010が欲しくなってきた。1台でシステムドライブに使うには i-RAM 2台でオンボードRAIDにした方がANS-9010のように別電源を確保しなくてよいし、性能も大差ない。 2chでもスレの主が住人に「i-RAMでいいじゃん?」→「やっぱりANS-9010が欲しい。」→「なんで?」→「そこにANS-9010があるから。」と言っていた。入手困難で高価なときはがまんしようと思ったけど、値下げされて入手可能になるとどうしても、ANSの山に登ってみたくなりました。

RAMディスクマニアという久保勇さんが2008年11月8日に使用体験レポートを書いていらっしゃるが、その後同じ名前の方の記事で、借金をしてまでANS-9010を4台買って「1GB/sを越えることは可能なのか? 」をテストしてみたという2008年12月17日記載のサイトがありました。 RAIDカードは、i-RAMの時代からi-RAMと相性がよくて最速と2chで定評の 「PCI Express x8動作/8チャネル対応の HighPoint RocketRAID 3520」を使っていらっしゃいました。そっか、ANS-9010があれば2008年12月27日時点で価格は949,800円のドスバラの最高峰パソコン(最大 sequential read 1,120MB/s)と同じ性能のものが作れるかもしれない。(他にT-ZONEの 910MB/sの例 このドスパラ「Prime SSD-RAID」の中にはIntel製SSDが6台も入っているハイエンドPCである。Intel製SSD(X25-M Mainstream SATA SSD、これかな?)は6台どころか1つでさえ高すぎて買えないし、NAND型フラッシュメモリーのSSDは実験的にはセルやブロックが「消耗」するので、実験用に7,948円(2008年12月27日には7,480円)で購入したSilicon Power のSSD SP032GBSSD650S25でさえ、減るのがもったいなくて2週間ほど実用実験に使ったのち、また、箱に入れて片付けている私としては、これ以上今までのようにIntelの高収益に寄与するわけにはいかない。一方、ANS-9010は使っても減らないのでIntelのSSDに比べて将来もずっと宝物として使い続けることができる、ANS-9010を使用してドスパラみたいな最高峰ヒマラヤ・パソコンを安く作れるか実験してみたくなってきた。久保さん同様、私もANSをクレジットカードを使用して与信取引で購入した。登山する前には地図を手に入れて綿密な登山ルートの設定計画が必要である。まず、ANS-9010の基礎的な性能を把握することが大切と考えて、初歩的な実験をしてみました。

このテストで使用した実験用パソコンのスペックは次の通りです。
 CPU: Core 2 Duo E8600 3.33GHz, 1333MHz FSB, 6MB L2 cache
 RAM: Samsung M378T5663RZ3-CF7 DDR2 PC6400 2GB × 2枚
 Northbridge: Intel P45
 Southbridge: Intel ICH10R
 Motherboard: GIGABYTE EP45-DS3R
 Boot HDD: HDS721616PLAT80 (Hitachi 7200rpm 160GB UltraATA133)
 ANS-9010 Format: FAT 32
 GFX: GIGABYTE GeForce 7300GS (nVIDIA 7300GS)
 Powered by: 潟Tイズ GOURIKI-P-550A
 Power switch: AINEX KM-01
 OS: WinXP SP1


@最初に初期設定のまま、2GBのメモリーを各1枚ずつANS-9010のチップセットに1番近い黄色いスロットに入れてCrystalDiskMarkでベンチマークテストをしてみた。Windowsではドライブは1ドライブとして認識され Eドライブとなった。

@ CrystalDiskMark (ANS-9010 DDR2 2GB×2 M/Bに直接 SATAUで 1ポート単独接続)
Port0

A次にジャンパーピンを挿入して、1台で2ドライブとしてSATAが2ポート使えるように設定した。RAIDを組んでいないのでWindowsでもちゃんと2ドライブとして認識され、Port0はEドライブ、Port1はFドライブとなり、それぞれのドライブの転送速度をCrystalDiskMarkでベンチマーク測定した。2GBのメモリーが各1枚ずつANS-9010のチップセットに1番近い黄色のスロットに入っているので、各ドライブの容量は2GBである。

A CrystalDiskMark (ANS-9010 DDR2 2GB×2 M/Bに直接 SATAUで 2ポート接続、1ドライブ当たり2GBである)
Port0 Port1
2度計測してみたが、2度とも Sequential Read は全く同じ値で、フラッシュメモリーのSSDと違って安定しており、なぜかポート1の方が0.2MB/s数値が高かったが、誤差としては0.1%である。2ポート2ドライブ接続にするとチップセットがデータを分離するのに時間を要して1ポート1ドライブとして用いるより遅いのかと思ったら、逆に@Aのデータを比較して分かるとおり、2ポート2ドライブとして利用する方が概ね高速だった。今後、他の実験でもすべてANS-9010無印を2ポート2ドライブとしてRAIDなどに利用した方が速そうだとこの実験から推測した。

Bi-RAMの場合はDRAM1枚差しとDRAM4枚差しで4枚差しの方が速かったので、ANS-9010に2GBのメモリーを2枚入れて総量4GBとした場合と、2GBのメモリーを8枚入れて総量16GBとした場合を比べてみることにした。
4GB 16GB
Sequential も Random もすべてのデータで、ANS-9010 1台にメモリーを4GB搭載したときの方が、ANS-9010 1台にメモリーを16GB搭載したときの方より高速で、ヒマラヤ登頂実験のためにはできるだけ荷物は少量、最小限のメモリーを用意すればよいことが分かった。再度申し上げますが、ANS-9010はフラッシュメモリーのSSDと違ってとても安定しており、何度実験してもデータの再現性は高く、とても信頼の置けるデバイスという印象を受けた。

C上の@Aの実験で、「ANS-9010無印を2ポート2ドライブとしてRAIDなどに利用した方が速そうだとこの実験から推測した」が、念のために、実験的に確かめておきたかったので、ANS-9010 1台を2ポート2ドライブとしてRAID 0に利用した場合と、ANS-9010 2台をそれぞれ1ポート1ドライブとしてRAID 0に利用した場合をCrystalDiskMarkでベンチマーク比較してみることにした。
ANS1台 ANS2台

上の@Aの実験で推測したとおり、ANS-9010 2台のRAID 0を組んだ実験でも、ANS-9010 1台を2ポート2ドライブとしてRAID 0に利用した場合の方がCrystalDiskMarkのすべてのデータでより高速であることが実証された。
ヒマラヤの山麓での実験段階として、私がANS-9010を購入させていただいたアキバのT-ZONEセンチュリーマイクロ製の1枚6万円の4GBのメモリーを8枚差したメモリーだけで48万円のANS-9010と、私が韓国のウォン暴落後にドスパラ金沢店で1枚\1,980 (2008・12・22価格) で購入したSamsungの2GBのメモリー(M378T5663RZ3-CF7)を2枚差してメモリー価格が3,960円のANS-9010を比較してみた。細かいことの積み上げであるが、Sequential Read の値で、T-ZONEの48万円DRAM ANSが338.3MB/sで、私の3,960円DRAM ANSは344.0MB/sとなりささやかな満足が得られた。しかし、これを書いている段階でANS-9010は私の手元に3台しかなくて1GB/secのヒマラヤ山脈を越えられるのかどうか分からなくてどきどきしているが、最後のANS-9010をT-ZONEに注文して到着待ちの段階である。(今電話でT-ZONEに催促しました。2008年12月27日)

基礎的な実験がすべて順調に済んだので、次はRAIDを組む数を増やしていくことにします。ANS-9010のRAID実験に興味のある方は下のNEXTをクリックして次をご覧下さい。


NEXT