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SSD・HDDに対する Mach-Drive の効果 


§5. SSD・HDDに対する Mach-Drive の効果

J2009年11月26日 IO-DATAのSSDN-ST64H発売され、これを購入するとMach-Drive(マッハドライブ)が無料でダウンロードできた。Mach-DriveはFlashFireなどと同様のOSのメモリーを書込みbufferとして利用するソフトである。最近のSSDはほとんどcacheを内蔵しているので、低速・低容量cacheのHDDを用いてこの効果を確認してみた。ノートパソコンに古い2.5in 120GB 5400rpm SATA1.5GbpsのHDDを入れNTFSでフォーマットし、Mach-DriveはWindows 7にも対応しているので検証するためにWindows 7をインストールしてCrystalDiskMark3.0 Alpha3でベンチマーク測定してみた。(2010年2月6日計測)

Ja 100MB test Jb 1000MB test


Mach-Driveをインストールし、書込みcacheサイズは自由に設定できるので100MBとし、cacheサイズ内に収まる100MBとcacheサイズをオーバーする1000MBでCrystalDiskMark3.0 Alpha3で同様のベンチマーク測定を行った。

Jc 100MB test Jd 1000MB test

J書込みbufferソフトはRAMdiskと共存できない場合もしばしばあるが、Mach-DriveとRamPhantom7は同じIO-DATAの製品なので共存させることができた。Mach-Driveの効果はすばらしく、cacheサイズ内ではSequentialでもRandomでもすべての領域でcache効果を発揮し、RamPhantom7のRAMdisk領域内と同等の速度を得ることができた。Cacheサイズをはずれると速度がかえって低下するという報告が2chにあったが、私が実験してみた限りでは速度低下は見られないどころか、1000MBテストでもRandom 4KBで4.8MB/sあり効果が認められ、体感速度も驚くほど向上した。


KMach-DriveをHDDに利用しても速度低下がなかったが、SSDで実際に使うとどうなるか気になってきた。DRAM cacheを搭載しない安価なSSDとして、TRIMにも対応した新Initio controller搭載のCSSD-SM32WINが2010年2月2日に発売され、その時点で在庫処分品やJM602 controllerのSSDを除いて唯一の1万円を切る32GBのSSDだったので、これにMach-Driveを用いるとどうなるか実験してみた。(2010年2月15日計測)

使用した実験用パソコンのスペックは次の通りです。
 CPU: Core 2 Duo E8600 3.33GHz, 1333MHz FSB, 6MB L2 cache
 RAM: Samsung M378T5663RZ3-CF7 DDR2 PC6400 2GB × 4枚
 Northbridge: Intel P45
 Southbridge: Intel ICH10R
 Motherboard: GIGABYTE EP45-DS3R
 Boot SSD: CSSD-PM32NL
 GFX: GIGABYTE GeForce 7300GS (nVIDIA 7300GS)
 Powered by: GOURIKI-P-550A
 OS: WinXP SP2


測定用のCSSD-SM32WINはNTFSでフォーマットし、今までの他のSSDの実験結果と整合性をとるためにOSはWindows XPとし、CrystalDiskMark3.0 Alpha3でベンチマーク測定してみた。(2010年2月15日計測)

Ka 100MB test Kb 1000MB test


Mach-Driveをインストールし、書込みcacheサイズは自由に設定できるのでHDDでの実験と同様に100MBとし、cacheサイズ内に収まる100MBとcacheサイズをオーバーする1000MBでCrystalDiskMark3.0 Alpha3で同様のベンチマーク測定を行った。

Kc 100MB test Kd 1000MB test

KHDDの場合と同様に、やはりMach-Driveの効果はすばらしく、cacheサイズ内ではSequentialでもRandomでもすべての領域でcache効果を発揮し、RamPhantom7のRAMdisk領域内速度に近い転送速度を得ることができた。SSDの場合、cacheサイズをはずれると速度が低下するという2chの報告は事実で、Sequential Writeは101.9MB/sから68.63MB/sに落ちた。Cacheサイズの設定を32MBにしてCrystalDiskMarkの1000MBテストを行ってみると73MB/sだったので、Sequential Writeの速度が落ちるのがいやな場合は、Mach-Driveのcacheサイズの設定をさらに小さい8〜16MBとすればよい。極度な速度低下をもたらしているのは200MB以上とcacheサイズを極端に大容量に設定している場合である。Cacheサイズの設定を8〜16MBとした条件下でも、Webの閲覧など小さなデータの取り扱い領域では、1万円以下のSSDでRAMdiskなみの転送速度を得ることができ、体感速度も驚くほど向上し、Mach-Driveを用いていないX25-Mより高速なのでお財布に優しい

Windows 7でも、hybernationを切りpaging fileなしに設定すれば、上記Jの実験のCrystalDiskMark3.0 Alpha3のscreen shot内に表示されているようにOS部分を7GBにすることができるので、このお財布に優しいSSDはWindows 7でも使用可能である。

Mach-Driveでは実際に減少させた書込み量も確認することが可能で、使い方にもよるが、web閲覧などでのデータの書込み減少量は半分近くになり、CrystalDiskMark Random 4KB testでは書込み量が数%程度に激減する。
最後発なだけあって、システムと相性さえあえば書込みcacheソフトの中で最良な気がする。

Mach-DriveをSSDに用いた場合、4KB程度の小さなファイルをまとめて書込むのでSSDの保護にも役立ち、THNS064GG2BBCSSD-SM64WJ2CSSD-SM32WINなどのIntel以外のSSDに対しても Write Amplification をIntel SSDなみに低下させることができると考えられる。

Mach-Driveを用いると停電時にデータを失うと心配する人もいるが、それは書込みcacheがないと主張していたX25-Mも含めて書込用DRAM cacheが搭載されているので、停電時にデータを保持できないリスクは同じである。バックアップをとっておけばよいだけのことである。

結論: SSDの速度低下で検索して来られた方への答えとしては、Mach-Driveがあれば、TRIMに対応したSSDの場合には安価なSSDでもIntelに準じたWrite Amplificationが得られSSDのNAND chipsの実寿命が延び、Randomの書込み量を減らしてデータの断片化を防ぐことによって速度低下も防止でき、実用的な使用体感速度はRAMdiskレベルに向上しとても快適といえます。


追記: SSDがTRIMに対応していない場合、SSD自体の速度低下からの回復に関しては、TRIMがなくてもHDDErase3.3を使いこなせる人にとっては、secure eraseを実行することはOSがTRIMを発行したことと同じことである。IndilinxのSSDでは電圧をいっせいにかけるためかHDDのように時間はかからず、ほとんどの場合secure eraseはほんの一瞬で終わる。Indilinx以外のSSDではドライブのサイズにもよるが概ね2分程度以内である。

TRIMに対応していないIntel X25-M G1、Toshiba SSDでfirmwareが「AGTA0104」のもの、CFD CSSD-SM64NJ2(JMF612 controller)、ADATA s592でsecure eraseを行う最終段階で「security set features」(と「enhanced secure erase」など)がsupportされている表示が出ることが確認できたら、secure eraseを行ってSSDの速度回復を行うことができる。

JMF602 controllerのSSD、 Initio controllerのSSD、 MtronのSSDはsecure eraseを行う最終段階で"This drive does not support the security set features!" と出るので、secure eraseはやめておいた方がよいであろう。私はJMF602 controllerのSSDでsecure eraseを行ってpassword lockがかかって使えなくなったことがあるので、それ以来この表示が出たらsecure eraseは行わないことにしている。
(この場合、速度を回復したい時にはdefragglerでのデフラグが推奨されている。ただし、Mach-Driveは設定画面でclick1つで動作をoffにできるので、FlashPointの経験から考えると誤作動防止のためMach-Driveの動作機能を一時的にoffにしてデフラグした方がよいであろう。IntelのSSDの場合はデフラグをすると速度が落ちるのでやめておいた方がよい。空き領域のデフラグの後、DiscRambleで空き領域を0 fillしておけば完璧である。)
JMicron, Initio, MtronのSSDをできる限りFOB(Fresh Out of the Box)の状態に近づけたいときは、できるだけ大きなallocation unitでドライブ全体をDisk Managementを用いてNTFSでformatし、DiscRambleを用いてそのdriveを0 fillするとよい。Secure eraseほど高速ではないが、wiper.exe程度の速さでFOB状態に近づけることができる。

SSDの速度低下やプチフリでお悩みの方のために、最後に再度重要なことを記載しますが、2chによく書き込まれる「最近のSSDは何も対策をせずに使えばよい」というわけではなくて、プチフリ対策で学んだ教訓は重視すべきであると思います。
同じドライブを用いたマルチタスクはドライブ内の書込みをsequentialからrandomに変えてしまい速度が落ちてくるのは当然のことなので、ブラウザーのcacheなどはRAMdiskに退避させ、マルチタスクを避けて複数の処理は複数のPCで処理を行うようにすればほとんど速度低下は起きません。(最近のパソコンは安いしノートパソコンの性能も実用的には問題ないレベルになりました。)



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