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OCZ Vertex のベンチマークテスト結果 

2009年3月、OCZからcontrollerが Indilinx製 のSSD「Vertex Series」が発売され、エルピーダ製64MBの onboard cache を搭載していて、日経WinPCの 120GB Vertex SSD (OCZSSD2-1VTX120G) のベンチマークテスト結果では Intel X25-M SSDより Sequential Read 以外では速い。 (CrystalDiskMarkベンチ結果

120GBの Vertex SSD の価格は4万円程もするので、1月頃から12,000円程で発売されている 30GBの Vertex SSD (OCZSSD2-1VTX30G) を購入して、64MBの onboard cache 搭載のSSDはどんな性能なのかテストしてみることにした。
買う決心がついた直接のきっかけは、日経新聞にメーカーの減産効果が出始めて3月中下旬頃からflash memoryの価格が高騰してきているという記事を見たので、SSDが高くなってしまっては買う気がしないと思ったからである。2009年3月24日にAmazonで、12,600円で注文して4月5日に到着し、その日の価格は15,000円代であったが、きょう(4月9日)見ると、16,939円になっている。すさまじい値上がりである。

Amazonは一部の商品については大変良心的で、3月24日の時点で最新firmwareは (00.P97/1275)であったが、4月5日の到着時に最新ファームの製品を注文した日の価格で配達してくれた。ただし、きょうサイトでまた新しいファーム(Ver1.10/1370)に変わっているのを見つけた。一方、同時に注文した商品であるが、2週間ほどあとに突然メールで一方的に当事者間の契約を破棄してきた商品もあるので、"konozama"にならないように注意が必要である。

発売時2009年2月のfirmware(00.P97/0112)以来、2009年3月に(00.P97/1199)、再度また2009年3月に(00.P97/1275)、米国時間の2009年4月7日に(Ver1.10/1370)と 3度も短期間に変わっており、ファーム変更の際SSDやシーゲートのHDDが死亡した人もいて、一般消費者から見れば、欠陥商品並みである。マニアにとっては up to date な対応でありがたいことではあるが。(ファームウェア書換えガイドpdf download mirror)

2009年4月7日のVer1.10/1370に上記のファーム変更手順で firmware update する場合には、ジャンパーピンが必要で、中に書込んであるファイルも消失する。
2009年4月17日には、Intel X25-M の firmware update と同じような手順である CD iso flash による firmware update 方法も公表され、ジャンパーピンは不要になり、単に firmware のみを書換えるようになったため、書込んであるデータも消失しなくなった。(CD iso flash cache)

2009年6月2日に Vertex FW v1.30 である (Ver1.30/1571) が発表され、今度は USB で flash して firmware update を行うように変更になり、改善点としては、それまで Windowsの64bit版ではほとんど作動しなかったTRIM toolが50%程で作動するように改良された。Firmware update を行う前に bootable USB memory を作らなければならないが、まず、drivekey.zip を入手して、このサイトに書いてある手順で bootable USB memory を作成しておく。
次に、それぞれのサイズ用の firmware の FWCFG.INI、FWUPDATE.EXE、PATCH の 3つのファイルをそのUSBにコピーして、マザーボードのBIOSをUSBから起動するように設定しておくとUSBから立ち上がって MS-DOS画面になるので、そこで「FWUPDATE」のコマンドを入力してFWUPDATE.EXEファイルを実行し、firmware update を行うVertexのドライブを選択すれば完了で、一見難しそうであるが、やってみれば意外と簡単である。
ただし、この方法は、(00.P97/1275) もしくは (Ver1.10/1370) からの update に限るので、それ以前のバージョンのものは、一旦どちらかにバージョンアップしておかなければならない。
一旦、(Ver1.30/1571) に update すると、ジャンパーピンを用いてOSで元の firmware に戻すことはできなかったが、CD で flash して、(Ver1.10/1370)に戻すことは可能であった。

2009年10月15日に新しいfirmware (Ver1.4&1.41/1819) がOCZ Forumに出た。S.M.A.R.T.のmaximum erase count値が異常に高くなる重大バグが修正されたとされていたが、(Ver.1.4/1819)で悪化したとの報告もある。 (Ver.1.4/1819) ではWin7のTRIMに対応しており、(Ver.1.41/1819) ではWin7以外のTRIM非対応のOSやRAIDでもIdle Garbage Collectionに対応している。Wiper.exeやsanitary eraseはどちらのversionでも使用可能とされているが、wiper.exeの前にsanitary eraseを行っておかないと速度回復しないし、wiper.exeには以前より時間がかかったり使用不能になったとの報告もある。速度低下の激しい(Ver.1.41/1711)や(Ver.1.42/1711)などのbugのあると推測されるbeta版にupdate済みの場合には、一旦、(Ver1.10/1370)に戻し、さらに(Ver1.30/1571)にupdateしてから、(Ver.1.4/1819)や(Ver.1.41/1819)にupdateしなければならない。(Ver1.4&1.41/1819)では以前のversionよりやや速度が落ちるという報告も多いが、使用中の大きな速度低下を防止できるようになった。ベンチ速度の速い「Ver1.4+手動TRIM」を勧める専門家もいるが、私は体感速度が変わらなければ手間のかからない方が楽なので「Ver1.41+自動GC」にしている。ちなみに、SecureErase3.3はVer.1.4でもVer.1.41でも無事使えたし、両バージョン間の変更はCD bootのみで可能であった。
(Ver1.4&1.41/1819)のベンチ結果はこのページ最後の追加実験の所に記載します。
(VertexではないがSuper TalentのIndilinx SSDでのファームアップの場合には、突然死の報告もあるので、注意が必要である。)

2009年4月8日にファーム(00.P97/1275)で実験をしたので、以下はファーム(00.P97/1275)での測定実験結果です。
ファーム(00.P97/1275)とファーム(Ver1.10/1370)では、ベンチ結果はほとんど変わりないとNabeLaboのサイトに記載されている。このサイトには 512 bytes の Random Write のみ 1/3に低下していると書いてあるが、それはSSDがusedもしくはabusedであるためで、以下のベンチ結果のDに書いてあるように TRIM tool で回復できると思う。2ch thread で実験した人は回復後の 速度低下はなかったと書いている。
Firmware Flashing Guide に書かれたファーム(00.P97/1275)とファーム(Ver1.10/1370)の変更点は:
 ・Feature Add : TRIM support is added
 ・Apple Mac Pro sleep/wake up support added
 ・Updater improved
 ・Bad block management function improved
であり、前回のファーム変更時のように Performance についての変更の記載はないので、ベンチマークの結果は最新ファームの物と同一と考えてよい。

OCZ Vertex は使用していると速度が低下してくる。これを防止するためにはSSDのドライブ全域にパーティションを作成せずに、予備領域を作成しておくと良いという意見が2chの板にも書かれているし、どれほど空けるべきかを検討したサイトもある。(パーティション内に7%、パーティション外に13%で、合計20%を推奨) 確からしいような気がすると思ったので、単体での実験では最初にパーティションを Vertex 30GB のうち 24GB しか作成せずにベンチマークテストを行った。しかし、速度が落ちてしまってからベンチを比較しても 24GB パーティションを作成した場合と、30GB 全領域にパーティションを作成してベンチを行っても CrystalDiskMark の計測値に変化はなかったので、RAID 0 を組んで測定する際には、30GB の全領域にパーティションを作成してベンチマーク測定を行った。

OCZ Vertex SSD単体と2個のストライピングで、各種ベンチマークテストを念のために行った上で、実用テストとしての「読書交錯遅延倍率(DelayRatio)」の測定を行い、IntelやSamsungなどの他社のSSDと実用性を比較してみた。


§1. ベンチマークテスト (Benchmarks)

このテストで使用した実験用デスクトップパソコンのスペックは次の通りです。
 CPU: Core 2 Duo E8600 @3.33GHz, 1333MHz FSB, 6MB L2 cache
 RAM: Samsung M378T5663RZ3-CF7 DDR2 PC6400 2GB × 2枚
 Northbridge: Intel P45
 Southbridge: Intel ICH10R
 Motherboard: GIGABYTE EP45-DS3R
 Boot HDD: HDS721616PLAT80 (Hitachi 7200rpm 160GB UltraATA133)
 GFX: GIGABYTE GeForce 7300GS (nVIDIA 7300GS)
 Powered by: GOURIKI-P-550A
 OS: WinXP SP1


@最初に OCZ OCZSSD2-1VTX30G を単体で SATAU3Gbps(300MB/sec)にてマザーボード GIGABYTE EP45-DS3R に直接接続して、FAT32でSSDをformatした場合に比べてNTFSでSSDをformatした場合、100MBでのCrystalDiskMarkベンチ結果にどのような影響を及ぼすのかを調べてみた。

@a 100MB FAT32 @b 100MB NTFS

@CrystalDiskMark の 100MBでの計測時、FAT32 ではSequential Read が200.8MB/sで、NTFS ではSequential Read が193.5MB/sだったので、FAT32 の転送速度の方が3.77%高速であったが、それ以外のデータはほぼ同等であった。

A次に OCZ OCZSSD2-1VTX30G を単 体で SATAU3Gbps(300MB/sec)にてマザーボード GIGABYTE EP45-DS3R に直接接続して、FAT32でSSDをformatした場合に比べてNTFSでSSDをformatした場合、1000MBでのCrystalDiskMarkベンチ結果にどのような影響を及ぼすのかを調べてみた。

Aa 1000MB FAT32 Ab 1000MB NTFS

ACrystalDiskMark の 1000MBでの計測時、FAT32 ではSequential Read が198.9MB/sで、NTFS ではSequential Read が189.6MB/sだったので、FAT32 の転送速度の方が4.9%高速であったが、それ以外のデータはほぼ同等であった。


BOCZ OCZSSD2-1VTX30G は、64MBの onboard cache を搭載しているので、CrystalDiskMark で計測する際に、cache size 以下で計測した場合と、cache size 以上で計測した場合に、ベンチ結果にどのような差が出るのか調べてみた。OCZSSD2-1VTX30G を用いて CrystalDiskMark の計測サイズをBa 50MB・Bb 100MB・Bc 1000MBと変えてベンチマーク測定を行ってみた。

Ba 50MB Bb 100MB Bc 1000MB

B Random write で差が出たが、512KBの場合に、50MBでの random write は 96.76MB/s で 1000MBでの random write は 87.97MB/s であったので、cache が効いている場合に 9.99%書込み速度が高速であった。4KBの場合には、50MBでの random write は 10.19MB/s で 1000MBでの random write は 8.811MB/s であったので、cache が効いている場合に 15.65%書込み速度が高速であった。


C今度は OCZ OCZSSD2-1VTX30G 2個を SATAU3Gbps(300MB/sec)にてマザーボード GIGABYTE EP45-DS3R のsouthbridgeのペリフェリに直接接続して、ICH10RのオンボードRAID機能でストライピングを行って RAID 0 のarrayを作った。OCZSSD2-1VTX30G は、64MBの onboard cache を搭載しているので、CrystalDiskMark で計測する際に、cache size 以下で計測した場合と、cache size 以上で計測した場合に、ベンチ結果にどのような差が出るのか調べてみた。OCZSSD2-1VTX30G の RAID array のvolumeをFAT32でformatして CrystalDiskMark の計測サイズをCa 50MB・Cb 100MB・Cc 1000MBと変えてベンチマーク測定を行ってみた。

Ca 50MB Cb 100MB Cc 1000MB

C 結果はやはり単体の時と同様に、Random write で差が出た。512KBの場合に、50MBでの random write は 181.4MB/s で 1000MBでの random write は 159.1MB/s であったので、cache が効いている場合に 14.0%書込み速度が高速であった。4KBの場合には、50MBでの random write は 29.71MB/s で 1000MBでの random write は 14.71MB/s であったので、cache が効いている場合に 2倍書込み速度が高速であった。

OCZのサイトには搭載した64MBのキャッシュは"onboard cache"と書かれているが、単体およびストライピングのベンチの結果を見ても、書込みキャッシュとして使用されている部分があることは間違いない。HDDには2MB〜32MB程の書込みキャッシュがあるのが当然であるが、今後SSDにも書込みキャッシュの搭載が当然となる時代が来るであろう。SSDではさらにIntelの様に wear levelling用のキャッシュ搭載も、特許などの問題がなければ標準的に搭載されるようになると思われるが、製造コスト削減のために1つの DRAM cacheをfirmwareでパテ切りして両用に使うことも可能かもしれない。


2009年6月10日、追加実験を行いました。OCZSSD2-1VTX30G のRAID 0の性能がよいので、初めからJMF602チップを2個RAIDにしてある OCZ OCZSSD2-1APX250G と比較してみることにしました。RAID 0はICH10Rのchipset RAID機能を用いました。
Cd は250GBのApex単体のベンチで、Ce は250GBのApex2個をRAID 0にして測定したベンチで、結果は次のようになった。Apex自体が内部でJMF602チップを2個用いたRAID構成なので、Sequentialの読書速度は単体でVertex 2個をRAIDにしたものに迫る結果が出たが、Apex2個をRAIDにしてもあまり速度は上がらなかった。また、Apexは単体でちゃんとメーカー公称速度が出ることもわかった。

Cd Apex単体 Ce Apex RAID 0


OCZ Vertex Series は64MBのon board cacheを搭載していて、輸入代理店のアスクが値上げして販売価格は高値維持である。同じプチフリ・フリーなon board cache搭載SSDとして、A-DATAS592 シリーズが2009年5月下旬に発売になり、2009年6月1日、ドスパラでサイズは128GBしか選べなかったが運良く購入できた。
S592のcacheはVertexのcache64MBの半分の32MBであるが、FlashPoint では32MBのcacheしか利用していないにも関わらずプチフリが消えることや、1.5TBのHDDのcacheが32MBであることを考えれば、cacheは32MBで充分なのかもしれない。JM612では128MBものcacheが搭載される予定であるが、どれほど良いかは製品を見てみないとわからない。
同じIndilinx製コントローラとDRAM cacheを共に搭載しているので、OCZ VertexとA-DATA S592を比較するためにA-DATA S592のベンチマーク測定も行ってみた。

下の Cf はA-DATA 128GBのS592 AS592S-128GM-C単体の結果で、Cg は128GBのS592 AS592S-128GM-C 2個をRAID 0にして測定した結果である。
Vertexは元々30GB・60GBのSSDに比べて120GBのSSDは高速であるので、Vertex30GBとA-DATA128GBの結果は直接比較できないのであるが、A-DATAS592 の転送速度は少なくともVertexの転送速度に遜色がないことがわかった。ただし、S592 のfirmwareは1279というような表示が出るので、TRIMには対応していないようである。また、新しいfirmwareが現在提供されているわけでもないので、将来に期待ということになる。Ce と Cf を比較すると、Apexはchipset RAIDにしても転送速度があまり向上しないのに対し、S592ではchipset RAIDで転送速度が大きく向上する性質があることがわかった。また、単体でのVertexやS592では、Sequential Readの速度はメーカー公称速度が出ないこともわかった。

Ce S592単体 Cf S592 RAID 0


OCZ Vertex は既に内部に64MBのcacheを内蔵している。2chで誰かが「VertexにFlashPointを用いたらどうなるのですか?」と質問したら、「FlashPointの意味がわかっているのか!」というような返答をされていた。その時、私も同じことを考えたが、2009年6月11日、朝、目が覚めてどうしてもどうなるのか実験してみたくなってきたので、ちょっと試してみた。下の Cg は、上記のベンチをした後のVertexを firmware update で v1.30 にした直後のもので、before TRIM と書いてあるがTRIMは行うことができなかったので、単にFlashPointβ3を用いる直前のデータと考えていただいてよい。 Ch はFlashPointβ3を用いた場合のCrystalDiskMarkの結果である。

Cg Vertex v1.30 Ch Vertex v1.30 FPβ3


「FlashPointの意味がわかっているのか!」と頭ごなしに考えるよりも、実験はやってみるものだと思った。2つの驚きの結果が得られた。
1つは、VertexはDRAM cacheを64MBと、FlashPointがOSのRAMを借用する容量32MBの2倍も搭載しているのに、たった32MBを利用するFlashPointを追加利用することによって、64MBのDRAM cache搭載のVertexのRandom write 4KB が 7.444MB/sから30.62MB/sと4倍にもなった。
もう1つは、OCZ Vertex Series 30GB のメーカー公称速度は Read up to 230MB/s で Write up to 135MB/s となっているが、30GBのVertexではほとんどの報告でCrystalDiskMarkによるベンチ測定では 90MB/s程度しか出ていなかった。しかしFlashPointを用いることによって 134.3MB/sを達成し、メーカー公称速度にぴったりと一致した。
A-DATA S592 が品薄で買えないときは、TRIM toolが使えないことがわかっていながらカートに商品が入ると瞬殺状態だったのに、余裕が出てくると今度はTRIMができないという話になってくる。S592で速度が低下してもFlashPointが有効かもしれない。
2009年6月12日に発売となった Diskeeper 2009 には、HyperFast という Windows上のSSD専用に設計された空きスペースの最適化が自動的に行われる機能があるため、Win7のTRIM機能や、OCZ VertexのTRIM toolやX25-Mの045C8820の速度自動回復機能がなくても、S592速度低下を回復できると期待される。(ただし、本来はOSとSSDのドライブ自体は別問題である。)
また、FlashPoint をさらに発展させて、書込みを一旦RamdiskのようにDIMMに書込んでしまうというSSD革命も、random dataをsequentialに書込むことができるので、よい解決方法であると思うし、もし、HyperFastSSD革命が共存できれば、さらにすばらしいと思うが、2009年6月12日にソフトをダウンロードしただけでまだインストールはしてみていないので、また、後日暇のあるときに実験してみます。(2009年6月14日、実験してみました。)



D今度は、OCZ OCZSSD2-1VTX30G を単体で HD Tune Pro でベンチ測定してみた。SSDのformatはFAT32である。

Da Sequential Read Db Random Read

DHD Tune Pro では Sequential Read は227.7MB/sであった。Sequential Read のグラフは、SSDを使用して一番最初にこのテストを行うと、Daのグラフの右の平坦なプラトーのグラフのみ得られる。雑誌やPCサイトの新製品紹介では、この右の部分の良いデータのみ紹介されて実情があまり記載されていないが、この Vertex SSDに下記の実用テストで行ったような大きなファイルの書込みをした後では、ここに示したDaのようになり、最初は転送速度が落ちている。だからOCZのサイトにはあまりベンチマークテストをするなと書いてあるのであろう。2chの板にはベンチマーク結果が悪化してもプチフリは起こらないと書いてあるので、使用しているうちにこのぐらいの転送速度になるのが「仕様」だと思えば、別に気にすることはない。IntelのSSDでも使用しているうちに転送速度は落ちるから同じ「仕様」である。さらに使い込んでみたら、Dc のようになった。使い込んだら Sequential Read は 170MB/s程になる。米国の時間で2009年4月7日に新しいfirmware(Ver1.10/1370)が出て、Windowsの TRIM tool に対応した。まだβ版でXPとVistaの32bit版でnon-RAIDの場合にしか対応していないが、このツールによって遅くなった速度を回復できるということになっている。(TRIM tool download mirror)

Dc Sequential Read

上で先に説明しなかったが、CrystalDiskMarkのテストは最初に100MBと1000MBのテストを行った。その後cacheの影響について考察しないといけないとわかり、最後に50MBのテストを行った。だから、50MBの Sequential Read の値が 100MBの Sequential Read の値より悪いのは、種々の書込みテストを終えて最後に50MBのCrystalDiskMarkのテストを行ったため、転送速度が落ちてしまってから測定したからなのかもしれない。新しいSSDで調べてみないとわからないが、今は手許に新品のVertexはない。今度 TRIM tool を使った後で、再実験してみようと思う。

(後日、2009年6月7日にUSBやCDで flash して firmware update を行ってみました。ドライブの中身が空なためか、ベンチ測定実験で少ししか使用していないためか、相性の問題によるものかはわかりませんでしたが、TRIM tool の wiper.exe は、オリジナル(0401)のものと0422と0525の3種類のすべてを、XP・Vista・Win7で試してみましたが、すべての組み合わせで「Wiper can't be run on drive D:\.」などと出るか、初版(0401)のwiperが立ち上がらないかのどちらかで、せっかく firmware update を行ったのに、TRIM不可能でした。また、TRIMしてもwiper_0422で速度が改善しなかったがwiper_0525で改善したというLansenさんもいます。私のシステムでは firmware update だけでは、Dc の実験結果は新しいファームで行っても Dd のように瓜2つの結果になりました。TRIM不可能なら A-DATAのS592の方がコストパーフォーマンスが良いと思いました。)

Dd Sequential Read

S592はLYNOSさんの経験では「HDAT2」の「Device Configuration Overlay Menu」で「Restore」したあと、HDDErace3.3で「Secure Erase」するとS592を速度低下から回復させることができたと書いてある。また、「DBAN」で「WIPE/fill0」を行う様な方法でもよいとも書いてあるが、別の方の実験では、S592に使用してみたら、かえって速度が低下したと報告している。

私も2009年6月28日に同じ実験を、S592とVertex1370とVertex1571で行ってみた。私のシステムでは3つのSSDすべてでHDAT2による「Restore」は不要であった。すべて、Secure EraseHDDErace3.3のみでSSDを完全消去することができ、SSDはすべて新品同様によみがえりました。上の Dc Dd は 下の画像 De のように、速度低下から完全復活しました!
この方法でX25-Mが復活することも知られているので、X25-M・Vertex・S592は速度低下しても、不良ブロックや不良セルがほとんど発生していない段階のSSDでは、容易にHDDErace3.3によって新品同様の状態に戻すことができるので、SSDは安心して使える気がしてきました。
32GBのS592ではHDDErace3.3が使えないという報告が今のところほとんどですが、私の場合にうまくいったのは、MS-DOSのみの環境でSecure Eraseを行ったからかもしれません。起動用のdisketteを作成して、A:プロンプトのところで、HDDERASEのコマンドラインを入力したら接続したすべてのSSDを認識して、データ消去はしばらくで終わりました。DBANも試してみましたが、LYNOSさんの経験では64GBで約10分と書いてありましたが、私の30GB Vertexでは、最初の終了までに要する残り時間の表示が5時間で、数分ようすを見ていると12時間になってきて、LINUXのためかCtrl+Alt+Delもきかないので、作業中にPCの電源を切りました。その後、HDDErace3.3でこのVertexはやはりすぐに全消去作業が済んでしまい、後で確認してもSSDは死亡していませんでした。(Lucky!)

De Sequential Read

調子に乗って何でもSecure Eraseをかけていたら、JMのSSDが1個Secure Erase後にBIOSで認識するもののOSでformat不能となってしまいました。orz
きょう(2009年6月28日)の2chを見ると、新型SamsungでもSecure Erase後に認識しなくなった人がいるので、OCZ SummitもSecure Eraseはやめた方がよく、とりあえずは、Secure EraseのSSDへの利用はS592とVertexとX25-Mだけにしておいた方がいいでしょう。後日、HDAT2でよく調べてみたら、OSでformat不能となったJMのSSDは「Security: Enabled+Locked」となっていてパスワードロックの状態になっていた以外は、すべて正常でしたが、パスワードがわからないのでunlockできなくなり、使えなくなっていました。



E 2009年3月下旬に120GBのVertexが発売になり、IntelのSSDより高速だとのふれ込みだったので、一瞬、IntelのSSDで並行輸入物が3万円台前半に落ちた。2009年4月上旬には価格が4万円程に戻っているので残念だと思った。
また、OEMでしか供給されていないSamsungのSSDも、MCCOE64G5MPP-0VAなどを最後にSLCの生産を終了し、今後MLCのみ生産する予定であるが、MLCの新製品は今の2倍程の速度が出るので、SLCのSSDは発売時の1/4程の価格で在庫処分されていて安価に市場に出回ってきている。
どちらも価格さえ下がればVertexのライバルとなりうるし、2chのSSDスレにも、Vertex 2個のRAIDとIntelのSSDとどちらがよいか迷うと言う人がいて、とてもいい質問cacheだと思ったので、発売時の1/3〜1/4の価格で購入できたSSDを実用テストするために、まず基礎的ベンチをとってみました。

Ea Intel X25-M Eb Samsung SLC

EIntel X25-M Mainstream SATA SSD は 4KBの Random Write が60MB/sもあり、数あるSSDの中で最速に君臨する。しかし、Sequential Write と 512KBの Random Write は、同じ条件で測定した上記Cbの 30GB Vertex 2台ストライピングの半分以下である。
一方、Samsung SLC 64GB (MCCOE64G5MPP-0VA) は、同じ韓国企業の製品であるためか、私が以前測定した Mtron (MSD-SATA3535016) とベンチマークの結果はきわめて似ているが、Random Write は 512KB・4KB共に 3.3倍程度に強化されている。


§2. 実用テスト (SSD Installation to PC)

次に実験用のデスクトップパソコンで、実用テストとしての OCZ Vertex の「読書交錯遅延倍率(DelayRatio)」(仮称) の測定を行い、IntelやSamsungなど他社のSSDと実用性を比較してみた。
実験方法の詳細についてはリンク先をご覧下さい。

FOCZ Vertex MLC 30GB 単体
GOCZ Vertex MLC 30GB 2個のストライピング
HIntel X25-M Mainstream SATA SSD MLC 80GB
ISamsung MCCOE64G5MPP-0VA SLC 64GB

このテストで使用した実験用デスクトップパソコンのスペックは上の実験で用いたものとほぼ同じで次の通りです。OSは Windows Service Pack 1 ではマザーボードに8GBのSDRAMメモリーを搭載しても Gavotte Ramdisk の RAM disk ドライブの容量が 1.99GB になってしまうので、 RAM disk ドライブの容量が 4.74GBとれる Windows Servive Pack 2 に入れ替えて実験しました。RAM disk ドライブの領域を確保するためにSDRAMメモリーを上のベンチマークテストの時より更に4GB追加して8GBとしました。

 CPU: Core 2 Duo E8600 @3.33GHz, 1333MHz FSB, 6MB L2 cache
 RAM: Samsung M378T5663RZ3-CF7 DDR2 PC6400 2GB × 4枚
 Northbridge: Intel P45
 Southbridge: Intel ICH10R
 Motherboard: GIGABYTE EP45-DS3R
 Boot HDD: HDS721616PLAT80 (Hitachi 7200rpm 160GB UltraATA133)
 GFX: GIGABYTE GeForce 7300GS (nVIDIA 7300GS)
 Powered by: GOURIKI-P-550A
 OS: WinXP SP2

結果:
FOCZ Vertex MLC 30GB 1個単体:
「コピー&ペースト(C&P)」2回の用手計測データ: 156.33s 156.08,「Write(W)」47.30s 45.18s,「Read(R)」24.88s 21.88s
「コピー&ペースト(C&P)」平均値: 156.21s,「Write(W)」46.24s,「Read(R)」23.38s
RAM disk の読み書き分を引いて 「コピー&ペースト(C&P)」156.21s,「Write(Wnet)」45.42s,「Read(Rnet)」22.02s
「読書交錯遅延倍率(DelayRatio)」: 「読書交錯遅延倍率(DelayRatio)」=(C&P)/{(Wnet)+(Rnet)}=(C&P)/{(W-0.82)+(R-1.36)}=2.32

GOCZ Vertex MLC 30GB 2個の RAID 0 set:
「コピー&ペースト(C&P)」2回の用手計測データ: 110.46s 108.19,「Write(W)」24.22s 24.66s,「Read(R)」35.67s 39.81s
「コピー&ペースト(C&P)」平均値: 109.33s,「Write(W)」24.44s,「Read(R)」37.74s
RAM disk の読み書き分を引いて 「コピー&ペースト(C&P)」109.33s,「Write(Wnet)」23.62s,「Read(Rnet)」36.38s
「読書交錯遅延倍率(DelayRatio)」: 「読書交錯遅延倍率(DelayRatio)」=(C&P)/{(Wnet)+(Rnet)}=(C&P)/{(W-0.82)+(R-1.36)}=1.82

HIntel X25-M Mainstream SATA SSD MLC 80GB 1個単体:
「コピー&ペースト(C&P)」2回の用手計測データ: 72.05s 72.04,「Write(W)」55.58s 54.07s,「Read(R)」25.55s 25.57s
「コピー&ペースト(C&P)」平均値: 72.05s,「Write(W)」54.83s,「Read(R)」25.56s
RAM disk の読み書き分を引いて 「コピー&ペースト(C&P)」72.05s,「Write(Wnet)」54.01s,「Read(Rnet)」24.20s
「読書交錯遅延倍率(DelayRatio)」: 「読書交錯遅延倍率(DelayRatio)」=(C&P)/{(Wnet)+(Rnet)}=(C&P)/{(W-0.82)+(R-1.36)}=0.92

ISamsung MCCOE64G5MPP-0VA SLC 64GB 1個単体:
「コピー&ペースト(C&P)」2回の用手計測データ: 94.61s 94.22,「Write(W)」46.81s 48.01s,「Read(R)」46.00s 48.78s
「コピー&ペースト(C&P)」平均値: 94.42s,「Write(W)」47.41s,「Read(R)」47.39s
RAM disk の読み書き分を引いて 「コピー&ペースト(C&P)」94.42s,「Write(Wnet)」46.59s,「Read(Rnet)」46.03s
「読書交錯遅延倍率(DelayRatio)」: 「読書交錯遅延倍率(DelayRatio)」=(C&P)/{(Wnet)+(Rnet)}=(C&P)/{(W-0.82)+(R-1.36)}=1.02



Fの結果をSSDのRAID実験のページの結果と比べてみると、OCZ Vertex MLC 30GB 単体では、読書交錯遅延倍率(DelayRatio)は2.32で、プチフリSSD(=JMicron 製コントロールチップ「JMF602」搭載SSD) 2個をRAIDにした場合の2.7よりよい。この結果から考えれば、Vertex単体ではプチフリは起こりにくいが、少し引っかかりがあるかもしれないという程度である。CrystalDiskMarkで Sequential Read は 200MB/sとSSDとしてはよい方であるが、上記の HD Tune Pro の使い込んだ場合の結果を見てわかるとおり、使用していると 170MB/s程度になる物だと割り切っておいた方がよいが、上記Dに記載した TRIM tool で速度を回復できる。

Gの結果では、OCZ Vertex MLC 30GB 2個の RAID 0 set では、読書交錯遅延倍率(DelayRatio)は1.82で、プチフリSSD 4個をRAIDにした場合の1.99よりよい。この結果から考えれば、Vertex MLC 30GB 2個の RAID 0 ではプチフリは起こらないと考えられる。100MB CrystalDiskMark のベンチ結果では Sequential Write は 186.9MB/sとすばらしく、実用テストでも 4,194,304KB のファイルをたった24.44秒で書込めるので、Ramdisk からなら 1GBのファイルなら約6秒で書込めることになり、かなり高速で気持ちよい。

Hの結果では、Intel X25-M Mainstream SATA SSD MLC 80GB 1個単体では、読書交錯遅延倍率(DelayRatio)は0.92で今まで計測したSSDの中で最善の数値であり、プチフリSSD 6個をRAIDにした場合の1.15よりよい。この結果から考えれば、X25-M Mainstream SATA SSD MLC 80GB 1個単体ではプチフリは起こらないと考えられる。この点に関してはSSDの価格さえ気にならなければ、Intelが鉄板と言える。
読書交錯遅延倍率(DelayRatio)が0.92と1を切った理由は、Gavotte Ramdisk で計算値以上の転送時間がかかっていると考えられることと、OSでコピー&ペースト機能を使った際にDRAMに1度書込んだcacheを再書き込みなしに2度利用している可能性が考えられる。

4,194,304KB のファイルを同じSSDのドライブ内でコピー&ペーストするのに72.05秒しかかからないというのは、プチフリSSD 6個を利用した場合の79.91秒よりも速くとてもすばらしいと思う。だからSSDスレでX25-M単体でRAIDのSSDより速いという意見もあったのが理解できる。
ただし、書込み時間自体に着目すると、実用テストの結果はベンチの結果の通りで、Vertex 2個のRAIDで24.44秒で書き込みできるところを54.83秒かかっているので、Sequentialの書き込み速度が遅いのはこのSSDの弱点といえる。しかも、これは使い込んでいくうちにさらに遅くなってくる。
(2009年2月13日にPC Perspectiveに、SSDの速度は長期使用で新品時の輝きを失っていくという7ページの詳細な実験結果が示されたが、2009年2月19日にインテルはpcperの実験結果を再現できなかったと反論した。しかし、現在、2009年4月10日に新しいfirmwareを出して対応している。 (cached Guidelines & ISO file)

AnandTechのサイトでも、4KBの Random Write が低下すると書いてあり、新品で39.3MB/sのものが使い込んでいくうちに23.1MB/sとなって、速度は約58.8%になると書かれている。このサイトでは、また、Vertex の4KBの Random Write も新品で8.2MB/sのものが使い込んでいくうちに2.41MB/sとなって、速度は29.4%に低下し、Samsung SLC も 2.61MB/sから 0.53MB/sへと約1/5の20.3%に低下すると書かれている。

今回のベンチ結果と実用テスト結果から判断すると、デスクトップなどで利用して高速書込みを期待する場合は、Vertex 2個のRAIDがよく、ノートパソコンなどのように単体で俊敏な反応を求める場合はX25-Mの方がよいと言える。私のDELLのノートPCは5万円程なのでX25-Mが4万円もすれば入れるのはもったいない気がするが、メーカー製のノートPCで15万円程出した人にとってはたやすいかもしれない。私は個人的には自分のノートPC本体の価格の半分以下になれば、X25-Mを入れてもいいかなと思っている。

Iの Samsung SLC 関しては、実用テストでもベンチの結果を反映した転送速度で、それなりのSSDと言うことができる。読書交錯遅延倍率(DelayRatio)は1.02だったので、プチフリは起こらないと考えられる。私はSamsungのSLCのSSDはもう販売終了ということで、SamsungのSLCとしては記念にこれ一つのみ購入してみたが、長寿命で安心できるからといっても高額のSLCはあまり買いたくない。その理由は、MLCの2倍以上の金額を支払って長寿命を期待しても、現時点では製品の信頼性が確立されておらず、controller chipの故障やHDDで言えばMBRのような領域情報などが入ったセルが破損することによる突然死が発生した場合に損失が大きいと思っていて、費用対効果比を考慮に入れると、当面はMLCのSSDで充分だと考えているからである。特にSSDに通電中にフリーズしたと勘違いして電源を切断してしまった場合にSSDが認識不能になるケースがよくあるので、こういう場合は初期不良ではなくて自己責任である。

J最後に比較のために、現時点(2009年4月8日)で価格的にライバルである
 Cb OCZ Vertex MLC 30GB 2個の ICH10RオンボードRAID set
 Ea Intel X25-M Mainstream SATA SSD MLC 80GB 1個単体
 Eb Samsung MCCOE64G5MPP-0VA SLC 64GB 1個単体
の 100MB CrystalDiskMark の結果を並べておきます。

Cb Ea Eb


いろいろな種類のSSDが出てくると、どのSSDが一番良いのかと気になってくる。Vertex一択とかIntel厨と言う思想もあるが、私はANS-9010やGavotte ramdiskやSSDが共存するように、SSDも今後はその性質に応じて、適材適所で使い分ければよいと考えています。

具体的には、SATAU接続でWindowsのOS用として単体でNTFSファイルシステムで用いるならば、予算に応じてX25-M、Vertex、S592が良いと思う。MacならJM族でもプチフリは少ない。(Mtronや旧型Samsungのできが良かったので、最初、新型Samsung・OCZ Summitもシステムドライブに良いだろうの思いましたが、2009年7月12日の2chで新型Samsungにプチフリが発生するという報告も出てきたので、新型Samsungをシステムドライブに用いるのは人柱目的以外は慎重に検討した方がいいでしょう。さらにまた、新型Samsungは速度低下が激しく、その回復方法もまだはっきりわかっていないが、X25-M、Vertex、S592は上記DeのようにSecure EraseHDDErace3.3で速度回復できます。)

SATAT接続でWindowsのOS用として単体で用いるならば、Mtronや旧型Samsungは今では割安にSLCが選択できるので、大切なデータを取り扱うPCによい選択である。
月1回しか使わないがデータ化けしては困る給与計算用のsouthbridgeがICH5の古いPCにSLCのMtronを使用してみた。寿命診断ソフトでSSDの寿命が864年というサイトがあったので、半信半疑で自分のPCでどうなるか計測してみた。ソフトをインストールしてバックアップをとり、そのバックアップファイルをまたファイルサーバーにコピーした直後は残り寿命は50年と表示されていたが、月1回の給与入力業務と週1回立ち上げて確認してみる程度の使い方では、右図の様に西暦5510年3月29日まで使えるという表示になり、なんと3501年も使えるという結果であった。従って、給与計算用のPCだからといってわざわざSLCにしなくても、現在の 50nm process technology のMLCか、さらに寿命の短い 34nm process technology の新型X25-Mでも5年程度の使用なら充分であるということになるが、MtronのSLCも16GBならついに¥9,780の特売が出現したので、SSDに対する出費自体が少なくて3500年の長寿命であるというのはとてもありがたいことである。

SATAT接続でSSDを単体で臨時倉庫として利用するなら、JM602でも別に困ることはないし、価格もsaleの際には他のSSDの半額程度である。

SATAU接続でSSDを単体で臨時倉庫として利用するなら、経済性に優れたJM族でももちろん問題はないし、また、Apexが高速で割安である。ただし、Apexは他のSSDに比べてずば抜けて消費電流が多くハードディスク並に発熱するのでノートPCには向かないし、デスクトップで利用するにしても熱暴走しないような対策が必要である。また、JMの方がIndilinxよりもwear levelling機能が優れているという報告もあるので、JMを倉庫として用いた場合にデータが破損するリスクはIndilinxより低いと考えられる。
SATAT接続やSATAU接続のRAID 0でSSDを臨時倉庫として利用する場合は、Vertex、S592が高性能を引き出せてとても良いと思う。お金に余裕のある方はX25-MやX25-Eをたっぷり繋いでみるのもよいかもしれない。

データ保管用にSSDを用いる場合には、SSDはまだ1GB当たりの単価が高いので、高速にデータ転送や一時保管したい場合の臨時倉庫的な用途に限られてしまうが、永久倉庫が必要な場合は1GB当たりの単価の低いHDDの出番となるし、長期永久保存ならBD-RやDVD-Rの出番になるであろう。絶対に消えたら困るデータはMOかDVD-RAMが安全である。

LeakしたIntel SSDのRoadmapでは、2009年の第4四半期に 50nm process technology から 34nm process technology に移行して、さらに容量の大きいSSDが販売される予定である。その頃には、また「適材」が変わってきそうである。
NAND型フラッシュメモリーは微細加工をすればするほどセルの寿命が短くなるので、発売当初9万円近くしたX25-Mは最近(2009年6月上旬)は3万円を切るセールもあって発売当初の3分の1の価格なので、50nm process technologyの丈夫なSSDとしてX25-Mも高値維持のVertexと比べれば「価格競争力」が出てきた気もする。


Firmware1.4&1.41での追加実験(2009年11月23日): 下のCrystalDiskInfoのscreen shotsのようにfirmware「Ver.1.4」はTRIM対応で、firmware「Ver.1.41」はTRIM非対応である。

FW v1.4 FW v1.41

K SecureErase3.3を行って速度回復させた後、firmware v. 1.4 と firmware v. 1.41 のそれぞれの場合についてファイルシステムはNTFSのみで100MBと1000MBでベンチマーク測定を行った。

Ka v1.4 100MB Kb v1.4 1000MB

Kc v1.41 100MB Kd v1.41 1000MB

K Ver.1.4の場合にはRW 512KBが100MB/sを越えるようになった点のみ、従来のfirmwareのベンチ結果と異なっていた。
SecureErase3.3を行ったあとに測定すると、Garbage Collectionが有効であるVer.1.41でも従来のfirmwareの場合とほぼ同等の速度が出ることがわかった。

Maximum erase count異常上昇のbugについては、まだ直っていないという報告1 2 3)もあり、さらにwiper.exeが使えなくなっている可能性もあります。
最後のコメントであるが、私のシステムだけかもしれないが、firmware1.4&1.41で、また新たな問題点が発生していた。S.M.A.R.T.のmaximum erase count値が異常に高くなる重大バグが修正されているとされているものの、「電源投入回数」がどちらの新バージョンでも増えなくなっていた。今度はS.M.A.R.T.に記録されるデータの信憑性自体に問題があるかもしれない気がする。

2010年1月20日付のisoファイルで、Vertex通算10個目のfirmwareが出た。 (Ver.1.5/1916)
Firmware1.4&1.41では実はmaximum erase count異常上昇のbugは直っていなかったのと、wiper.exeが極度に遅くなっていたのが改善されたらしい。Vertexはもう箱に入れて倉庫に片付けたので、また、休日にでも暇があったらベンチをとってみます。
(Ver.1.5へのファームアップはようすを見ていたが、Ver.1.5にするとBIOSで認識されなくなるという報告があり、一旦Ver.1.5にしたあとはVer.1.4などに戻したあとにも認識されなくなるようなので、注意が必要である。)


Solidata K5-64はFirmware 1916であるが、Vertex(Ver.1.5/1916)ほどトラブルが報告されていないので調べてみた。「デッドストックNAND」を採用して格安に製造したとのことで、X25-Eの40%の価格でSLCである。ControllerはIndilinx、NAND flashはSamsung、DRAM cacheはElpida製であった。NAND自体はAppleから不良返品された「デッドストック」の32nmMLCをSLCに転用再生したものかもしれない。NAND flashの上にはニスのような物が塗られ、型番などは読みづらくなっていた。
購入時のCrystalDiskInfoJSMonitorのscreen shotsである。

FW 1916 CDI FW 1916 JSMonitor

Initial Bad Block Count が初めから400以上もある製品もあるらしいが、手に入れた物はJSMonitorの表示で「Initial Bad Block Count」が69、CrystalDiskInfoの表示で「初期不良ブロック数」が45であった。健康状態は、初めから「正常95%」というものもあるが、この製品では「正常99%」であった。

La K5-64 100MB Lb K5-64 1000MB

CrystalDiskMark3.0 Alpha3でのベンチ結果はX25-E並に高速であった。パソコン4〜5台に接続してみたがすべて正常に認識されきわめて高速であったので、Firmware 1916自体が問題であるということはないのかもしれない。

2chではK5-64よりK5-64i の方が人気であるが、私のK5-64i のSequential Writeは下のscreen shotsのようにK5-64より遅かった。

Ma K5-64i 100MB Lb K5-64i 1000MB


2010年6月7日にOCZ Vertexの11番目のfirmware (1.6 FW) が出た。私の場合はfirmwareVer1.4&1.41/1819にして以来、power cycle countが増えなくなっていたので箱に入れて倉庫に片付けていたが、2chの書込みVer1.41/1819で8ヶ月使用して、Average erase countが5,949回なのにMaximum erase countが30,259になっているscreen shotを見て、元に戻せなくても1.6 FWにファームアップする決心がついた。この方のJSMonitorのpower cycle countはCrystalDiskInfoの電源投入回数と一致しないが、私の場合には下のNc・Ndのscreen shotsのように両者は一致した。

Na FW1.41 CDI Nb FW1.41 JSM

Nc FW1.6 CDI Nd FW1.6 JSM

N上のscreen shotsのように、FW1.41にしたときのscreen shotの電源投入回数が43で止まっていたのが、ちゃんと増えるようになり、wiper0525OCZ GCも正常に作動し、30GBのSSDで1分33秒でTRIM処理を完了した。ただし私の場合には指定されたとおりのIDEモードでは作動せず、逆に、IMSMのRAIDモードでファイルシステムがNTFSのときのみ作動した。Sanitary eraseについては、"doing sanitary erase..." "hit any key" の表示のまま1時間経っても何も進行しなかったので中止したが、代わりにSecureEraseを行って無事全0fill消去することができた。

SSDに慣れてきてノートパソコンなどは無音が当たり前になってくると、SecureEraseを行うときのFDDはうるさくて遅い。そこで、USB bootでSecureEraseを行ってみようと思ったが、OCZのforumにあるFreeDOSではFAT16でしかformatできないことと、起動時にいちいち時刻の入力を求められてとても面倒くさかった。そこで、Hewlett- PackardHP USB Disk Storage Format ToolSP27608.exe)を入手し、これを実行するとCドライブ内にDriveKeyが作成されるので、この中の「HPUSBFW.EXE」を実行するとFAT32でformat可能なbootable USBを作成することができた。"Bootfiles"の中にWin98の起動ディスクのMS-DOSのファイルを入れるとBIOSも時刻を自動的に取得してくれて起動が簡略化でき、HDDErase3.3の実行ファイルもこのboot USB作成時に"Bootfiles"の中に入れておくと、BIOSをUSBから起動するように設定するだけで、無音・高速でHDDErase3.3を実行することができる。(ファイルの数やサイズなどを自分で確認してoriginalのファイルと同じかどうかちゃんと自己判断できる方は、自己責任でこの"Bootfiles"を使ってみてください。)

CrystalDiskMark 3.0.0eを用いて OCZ Vertex 32GBのfirmware (1.6 FW) でのベンチ測定を行うこととしたが、上の実験LMではstandard Windows XP driversではNCQが効いていなかったので、boot SSDを、「2ポートRAID 0でIMSM導入済みのANS-9010」に変更してみた。 結果は下のようになった。

Oa FW1.6 random 100MB Ob FW1.6 random 1000MB


ONCQはIMSM driverではReadのみ作動し、Writeでは効果がなかった。
 Firmware 1.6に変えてベンチマーク測定を行ってみた結果としては、defaultのrandom dataを用いたperfomanceは、従来とほぼ変わりないことがわかった。

P念のため試しに"0Fill"テストをしてみた。

Pa FW1.6 0fill 100MB Pb FW1.6 0fill 1000MB


Pすると書込速度がかなり向上したので、IndilinxはSandForceより以前から、圧縮書込機能を搭載している可能性があると推測された。

Indilinx系はOS用途としてRAID 0で用いると壊れやすいが、Yatapdong化して使えなくなっている場合は641102 and 661102 updatersOCZ forum)が有用かもしれない。

今回のfirmware updateでBarefoot controllerは発売後15ヶ月でやっと致命的なバグから解放され、通常の使用状況ではNAND flashの寿命を気にすることなく実用的に使えるようになった。
東芝のSSDは2009年12月18日に発表され、4ヶ月後の2010年4月にlaptop PCに採用され、慎重に10ヶ月後にやっとSSD単体で発売されその完成度が高いが、その間2chでは"出す出す詐欺"などとまで言われて発売が熱望されていた。
一方、Indilinxの方は2009年の3月に完成したSSDをすぐに発売したものの、発売後2010年6月までの15ヶ月間にfirmware updateを10回以上も行い、製品としては低信頼性の物を発売していたことになるが、OCZ forumでの手厚いsupportがあり、VertexのおかげでSSDについてずいぶんと勉強になったので、私はOCZにはとても感謝している。(^_^)



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