人工関節

人工股関節

人工股関節は主として変形性股関節症や関節リウマチの手術治療に用いられます。股関節のための人工関節は歴史的に上の写真の通りで、手術に用いられるインプラント(人工関節)の実物を並べたパネルが、毎年、アメリカの整形外科学会の会場で展示されます。84年も前に実際に使われたインプラントをはじめとして、すべて実物の人工関節が歴史的な順番に展示されています。ワシントンのスミソニアン博物館では、月の石や世界最大のダイヤモンドや世界中の動植物・昆虫などがパネルになって図鑑のように陳列展示されていて、それが図鑑のような絵ではなくてすべて実物であり本物であるので、初めて見たときには大変驚きましたが(しかも入場無料)、整形外科関係者がこのパネルを見たときもたぶん興味があれば同じような感銘を受けることでしょう。概念的にはここにパネルを並べた順番で、過去の教訓を参考として人工関節の改善改良が行われてきたので、これらのパネルは人工関節の発展の歴史を知る上で貴重な資料です。(別のパネルとの間や一部のパネルでは個々のインプラントの時代の前後はあります。)

股関節の人工関節手術(人工股関節手術、人工股関節置換手術=total hip replacement arthroplasty)は人工股関節形成術 (THA=total hip arthroplasty)や人工股関節置換術 (THR=total hip replacement)と呼ばれています。

人工股関節のデザインの変遷
についてひとこと:人工股関節の実物をこれから手術を受ける予定の患者さんにお見せすると、多くの方が「こんなに大きいものを入れるのですか。」とおっしゃります。整形外科医も初めからこのように大きな物を入れようと思っていたわけではありません。今の人工股関節の大腿骨側のインプラントは、股関節の中で回転する丸い部分の「ヘッド」と呼ばれる部分と、大腿骨の中でしっかりと固定するための「ステム」と呼ばれる部分でできています。1923年頃の初期の変形性股関節症の治療は、このヘッドにあたるカップというもので大腿骨頭の痛んだ部分だけを置き換えていました。それが上の CUP ARTHROPLASTY (カップ関節形成術)とタイトルの付いたパネルに展示されています。しかし、この手術ではカップの中の骨が壊死と言って血流障害により骨細胞が死にいたり、数年のうちにゆるんでしまうことが良くあり、何度も入れ替えの手術を要しました。その後、SHORT STEM で始まるパネルのようにカップを固定する軸受けが着けられましたが、結果は同じでした。その後、LONG STEM で始まるパネルのように大腿骨の中で固定するようになりましたが、今度はこのステムが大腿骨の中で動いて大腿部に痛みをきたすことが多くなりました。これが解決されたのは TOTAL HIP ARTHROPLASTY (人工股関節形成術)のパネルにあるように、1961年に発表されたチャンレイのセメントで固定する人工関節になって初めて手術直後に強固な固定が得られて、ちゃんと股関節の痛みがとれるようになりました。パネルではセメントとその右に展示されています。チャンレイの手術は多くの点で今の人工股関節形成術の基本ですが、ステムの曲がった部分で折損する問題点があり、より折れにくいセメント固定用のステムが開発され、これが CEMENT FIXATION のパネルに展示されています。チャンレイの当時のセメント固定は、10年後に約20%の患者さんでセメントの固定が不良になったため、60歳以下の若い患者さんへの人工関節手術は、多くの整形外科医が躊躇しました。これを解決するために、セメントを使わないプレスフィット(PRESS FIT のパネル)というステムが開発され、さらにしっかりと人工関節自体と骨が結合するように工夫されたステムが METAL COATED STEMS のパネルに展示されています。現在、セメントを用いた固定もセメントを用いない固定も、多くの発表で10年後に人工関節のステムがゆるんでいない確率は93〜95%程度の成績です。

(人工股関節の実際の手術写真と人工股関節手術 THA とその歴史についてのコメントはこちらへ。)
(最新のMIS最小侵襲人工股関節手術MITHA=minimally invasive total hip arthroplasty)についてはこちらへどうぞ)



人工膝関節


人工膝関節は主として変形性膝関節症や関節リウマチの手術治療に用いられます。上の3枚は膝関節のための人工関節の写真です。1970年頃までは最初のパネルにある hinge型(蝶番型)と言われる constrained type の人工関節が用いられましたが、長期的に loosening(緩み、ルースニング)の発生率がきわめて高く、また、術後感染率(overall infection rate) も10〜30%の高率に達したとも報告され、まだ実用的な人工膝関節とは言えませんでした。その後、semi-constrained type の人工関節が世界中で開発され、現在もこの時点の概念の人工関節が主流となって使われています。Constrained type の人工関節は、現在は、悪性腫瘍切除後の下肢機能再建などの特殊な用途にのみ使われています。

膝関節の人工関節手術(人工膝関節手術、人工膝関節置換手術=total knee replacement arthroplasty)は人工膝関節形成術 (TKA=total knee arthroplasty)や人工膝関節置換術 (TKR=total knee replacement)と呼ばれています。


(人工膝関節の実際の手術写真と人工膝関節手術 TKA とその歴史についての説明はこちらへ。新しいMIS人工膝関節手術(MITKA=minimally invasive total knee arthroplasty)について紹介してあります。)




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